【業務改善シリーズ第3弾】「業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」を活用して働きやすい園環境を整備しよう!

業務改善

お待たせしました!業務改善シリーズ第3弾!本記事がシリーズ最終回となります。前回の記事では、Step2「自園の業務の実態を把握」とStep3「保育の質向上につながる改善のためのアプローチを検討」について解説しました。今回は、Step4「導入、実施に向けたアクションプランを策定」を中心に取り上げます。

以下、具体的な事例を用いて実際にどのような業務改善の取り組みが行われたのか、課題解決に向けた工夫や配慮のポイントについてまとめました。これから業務改善に向けた一歩を踏み出そうとしている保育士の皆さんにとって参考になる内容をお届けします。業務改善の取組は大きく分けて「ICTの活用」「保育補助者の活用」「記録・書類業務の見直し・工夫」「働き方の見直し」の4つになります。それではそれぞれの取組における事例をみていきましょう。
(引用:令和2年度保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン(PDF/4,297KB)

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ICTの活用

事例1 保育に関わる情報共有

課題①
  • 保護者への連絡、園内の情報共有、日々の保育の記録・計画など、いくつかの書類に重複して同じ内容を記載しており、時間と手間がかかる
  • お便りなど、文章作成やレイアウトに気をとられ作成に時間がかかる
  • スケジュールに合わせた作業の負担感が大きい
効果
  • 重複作業が軽減できる
  • 作業の時間を削減できる
課題②
  • 保護者との連絡に用いているツールの種類が多く、チェックや管理が園&保護者双方の負担
  • 職員間の申し送りが機能せず、保護者への伝達がうまくいかないことがある
効果
  • 保護者との情報共有が向上する
  • 連絡の正確性が向上する
改善のポイント
  • 園、保護者共に使いやすい、園の状況に合わせた連絡ツールアプリの利用を検討
  • パソコン、タブレット、スマートフォンなど、職場で安全に利用できる環境を整備
取組の進め方
  • ICT 化に伴い情報共有がスムーズになるなどのメリットと、新しいシステムに慣れるまでの難しさなどのデメリットを職員間で整理し、園に合わせた ICT 利用の方法を共有すること
  • ICT の新たな利用環境を整えましょう。現在ある Wi-Fi 環境や ICT 機器、職員それぞれがパソコン、タブレット、スマートフォンなど、どの端末が使いやすいか、どの程度使えるかを把握したうえで、新たな機器の購入や環境の整備を計画し、導入を進める
  • 環境整備と同時に、新しい機器やアプリなどの使い方の研修を計画。パソコン、タブレット、スマートフォンについて、操作がわからないときに気軽に聞くことができる体制や担当者を割り当てる
工夫&配慮
  • ICT の導入目的が見えないと、新しいツールを使うことに、かえってストレスが高まり逆効果になることがある。目的や効果を職員間で共有することを大切に
  • ICT の利用前に、従来の記録・書類の様式をそのまま ICT 化するのではなく、記録様式・記録する項目を見直すことが大切

事例2 写真で保育を記録・発信

課題
  • 保護者に保育を伝える際、文章だけのお便りや掲示では難しいことがある
  • 文章を書くことに時間がかかる保育士がいることで、業務の分担が難しい
効果
  • 保護者との情報共有が向上する
  • 作業の効率化
改善のポイント
  • 具体的に伝わる写真を用いた記録の利用を検討
取組の進め方
  • 写真を用いて、文章はその写真に少し添えるかたちの記録を導入
  • 写真をプリントアウトして文章を添えたものを掲示したり、写真を用いることができるアプリケーションで共有するなど、写真を保護者と職員間で共有しやすい方法について検討する
工夫&配慮
  • 今までの日々の記録や保護者への連絡方法などの見直しと合わせて、業務負担が増えないように導入していく
  • 保育中の写真を撮ること、また個人情報の取り扱いについて、職員間・保護者間で共有する
  • 写真は子どもの「表情」を撮らねばならないものではなく、子どもの「今」の「興味・関心」、心が動いていることをメモ的に記録することを心がける

事例3 登降園・出退勤の管理にICT導入

課題
  • 登降園の時間管理について記録ミスがある
  • 保護者のお迎え時間を保育士等が記録する負担感がある
  • 給食費、延長保育料などの計算が煩雑で大変
効果
  • 事務作業が軽減できる
  • 保護者との情報共有が向上する
改善のポイント
  • 登降園・出退勤の管理のための記録装置とそのデータを管理するソフトウエアを導入
取組の進め方
  • 出退勤の記録システムと集計システムを連動させて導入
  • 記録が正確になり、計算も自動的に行うことができる
工夫&配慮
  • 1日を通して子どもの在園時間が可視化され、保育士の業務内容が可視化されることも業務改善に繋げる
  • 保育士等のシフト作成・管理のソフトウエア導入も可能
  • 園全体での時間管理が可視化されることで、業務の分担を効率よくしたり、ノンコンタクトタイムをつくったりすることにも利用する

保育補助者の活用

事例1 業務分担の検討・役割の明確化

課題
  • 保育士の業務が沢山あり負担感が大きい
  • 保育補助者にどこまで業務をお願いすればよいかわからない
効果
  • 業務分担が明確になり、保育士が保育に集中できるようになる
  • 保育補助者の役割が明確になる
改善のポイント
  • 保育士の業務は多岐にわたるが、あまりに多くの業務を保育士が行うことは、専門性を要する業務に集中できなくなる可能性がある。保育補助者の業務分担を検討し、保育士の業務負担軽減を図る。また業務を分担することで保育補助者の役割が明確にもなるので、保育補助者も業務をしやすくなる
取組の進め方
  • 保育士を含む「業務役割検討チーム」を構成
  • チームを中心に、負担感が大きい業務をリスト化
  • リストを、チームで①「保育士しかできない業務」②「保育士がしたほうがよい業務」③「どちらでも行える業務」④「保育補助者が行える業務」にカテゴリー分け
  • ②③については保育士が本当に行う必要のある業務か検討し、その検討した内容と④を保育補助者の業務内容としていく
工夫&配慮
  • 日頃の業務の負担を実感している保育士等が中心となってグループを構成する
  • 管理職が把握しきれていない「隠れた業務」があることに注意
  • 「保育士がしたほうがよい業務」「保育士以外でも行える業務」は、本当に保育士がする必要があるか、グループ以外の職員とも検討する

事例2 作業手順の「見える化」

課題
  • 日によって保育補助者の業務が違う場合があり、そのたびに作業手順などを説明することになり業務負担軽減につながらない
  • 保育補助者に任せたい業務があるが、伝達や情報共有に負担を感じ、かえって業務が増える
  • 保育補助者にとって、業務の方法や目的がわからない
効果
  • 保育士が何回も説明をしなくてもよく、効率的に業務をすることが可能になる
  • 保育補助者が作業をしやすく、目的も理解でき、意欲向上につながる
改善のポイント
  • 作業手順や方法は、言葉や文章で伝えるよりも、写真などで業務内容を示すと業務の「見える化」が促進される。また、保育における意義や効果なども書いておくと、保育補助者も園を支える一人だという実感を持てる。
取組の進め方
  • 作業のポイントとなる部分を撮影
  • 写真に合わせて作業方法を示す
  • 作業方法とあわせて、それによる保育の効果などを記載
  • 作業場所近くの見やすいところへの掲示や、手に取りやすいところに置く
工夫&配慮
  • 作成した作業方法は掲示するような場所がなければ、冊子もOK  まずは少しつくり、効果を感じたら、次をつくるようにするとよい

事例3 業務表の作成

課題
  • 保育士でなくても対応できる業務が保育士の業務負担となっている
  • 突発的に生じた作業に対応することで通常の保育に負担が生じる
  • 業務の伝達がうまくいかない
  • 保育補助者の業務量が日によって過多になる
効果
  • 業務を明確に伝えることができる
  • 任せる業務の全体像が見えることで、保育士間で業務を調整しやすくなる
  • 保育補助者の業務負担軽減になる
改善のポイント
  • 保育補助者は、勤務日の子どもの数や保育士のシフトによって業務内容が異なることも多い。その異なる業務を毎回、口頭で伝えるのは業務の負担になり、伝達不足や重複が生じる。業務表であれば、保育補助者が負担にならない量の検討できる
取組の進め方
  • 業務表を作成し、依頼するクラス、依頼したい業務を書き込む
  • 作業が終わったら、保育補助者は業務内容にチェックを入れ、終了したことがわかるようにする
工夫&配慮
  • 保育士は業務量を見ながら、保育補助者の業務が多くなり過ぎないように注意する
  • 特定の保育士が業務を頼み過ぎないように配慮する必要がある

記録・書類業務の見直し・工夫

事例1 計画に関する書類の見直し

課題
  • 長期的な指導計画、短期的な指導計画に様々な計画があり、作成に時間がかかる
  • 指導計画の様式を検討することがなく、現在の園の保育実践に合っていない
効果
  • 子どもの実態に即した指導計画に注力することができる
改善のポイント
  • 保育は、社会の変化や子どもの実態に応じて変化してきている。指導計画の作成が形骸化されないよう様式の見直しを行い、実践に生かすことが大切
取組の進め方
  • 園の理念や環境に即して、変更の少ない長期的な計画と、より子どもの実態に応じて計画を立てることが必要な短期的な計画について役割を分担
  • 短期的な計画は、記録を含めた様式を検討し、計画と実践の記録と反省を一つの様式にする
  • 短期的な計画はクラス担任が全員で取り組めるような作成の時間を設定する
工夫&配慮
  • 計画の様式を見直すことで、必要な内容が省かれてしまって保育の質の低下につながらないように、どのような欄が必要なのか、全職員で検討することが大切
  • クラス担任が全員で行えるような様式の工夫をする。マップを取り入れるなど、視覚化することも検討

事例2 児童の記録に関する書類の見直し

課題
  • 内容が重複している書類が多く、作成に時間がかかる
  • 保管書類が多く、活用される場面が少ないため、負担感が大きい
効果
  • 作成する時間が短くなる
  • 作成する目的が明確になり、意欲的に取り組むことができる
改善のポイント
  • 記載内容が重複している書類を見直し、可能なものは同一の様式とする。また、保育士等のスキルにもよるが、手書きからパソコンへの切替も検討
取組の進め方
  • 行政から定められている書類、園で保管している書類、保護者へ提供している保育記録などから内容が重複する項目を洗い出す
  • 写真を用いた様式にすることにより、子どもの具体的な姿をイメージしやすい記録となり、家庭への個人記録の配布にも用いることができる
工夫&配慮
  • 様式の見直しを行った直後は、慣れないために、戸惑う保育士等も少なくない。お互いに記録を共有して、アドバイスし合うことが必要。

働き方の見直し

事例1 業務内容のタイムマネジメント

課題
  • どの業務に負担感があり、時間がかかっているのかを把握できていない
  • 休憩や休暇が取りにくい
  • 一部の人に業務が偏っている
効果
  • 業務量の把握ができる
  • 必要な業務を精査し、優先順位をつけて、効率的に取り組むことができる
  • 業務の均等化が図れる
改善のポイント
  • 保育するうえで本当に必要な業務を精選し、ゆとりある休憩の確保や休暇取得によるリフレッシュを図ることで、余裕を持った保育が可能となる。
  • 業務改善に取り組むことで、ゆとりある休憩の確保や休暇取得、ノンコンタクトタイム導入につなぎ、メリハリのある環境を整備する。
  • タイムマネジメントにより一部の人に偏った業務の改善に繋げる
取組の進め方
  • 本ガイドラインなどを参考にし、園の業務時間の見直しを検討する
  • 一部の人に偏った業務を分担できるよう見直しを図る
  • ゆとりある休憩の確保や休暇取得、ノンコンタクトタイムの導入に繋げる
工夫&配慮
  • ゆとりある休憩や休暇は、ゆとりを持った保育をするうえで重要であることを共通理解とする
  • ノンコンタクトタイムは休憩ではなく、子どもから離れて、事務作業などに集中できる時間です。メリハリのある働き方が可能になり保育にも集中できるため、短い時間からでも導入の検討しましょう。

事例2 ムリ・ムダ・ムラのリスト化

課題
  • 保育を妨げるような業務が負担感となっている
  • 業務負担が一部に偏っている
  • 業務量が過多で、負担感を感じている
効果
  • 保育をするうえで必要ではなかった業務を明らかにできる
  • 一部に偏っている業務負担が明らかになる
改善のポイント
  • 業務は知らず知らずに増えていくことがある。始めた当初は意味があったことも、時が経ち必要ない業務をただこなしていることもあるため、それを「見える化」することで、見直しを図る
取組の進め方
  • ムリ・ムダ・ムラ(3M)をリスト化
  • リスト化したものに優先順位をつけ、見直しの検討を行う
工夫&配慮
  • 働くうえで「ムリ」が生じている業務、保育をするうえで「ムダ」だと感じる業務、業務の配分の偏りなどの「ムラ」などを全職員から聞き取りながらリスト化する
  • 項目分けにこだわりすぎる必要は無し。リスト化した3Mの改善の方法や時期、順番などを検討しましょう

事例3 会議の工夫

課題
  • 会議が長時間化し、他の業務に支障が出ている
  • 会議が報告会となり、参加に負担を感じる
効果
  • 会議が短時間で効果的なものになる
  • 報告だけでなく、意見がたくさん出るようになり、改善スピードが上がる
改善のポイント
  • 保育士全員が集まる機会は少なく、会議が長時間化する傾向がある。下記「取組の進め方」で、できるところから開始する。生産的な話し合いができたという実感が、会議の負担感を軽減させる
取組の進め方
  • 単純な報告と会議で話し合うこととに分けて、単純な報告は会議前に事前に共有できるようにする
  • 会議や打ち合わせ前に各自が考えをまとめて参加できるように、事前にテーマや議題を周知
  • 会議や打ち合わせを、グループでの実施、時間の設定、ICT の利用などを検討したうえで実施する
工夫&配慮
  • 会議の実施方法の工夫は、少人数(4人程度が意見交換できるにはよいとされます)や役職、職種、勤続年数なども考慮したグループで短時間の会議とすることなどが考えられる
  • それぞれの打ち合わせの議事録をICTなどを活用して共有する

事例4 ノンコンタクトタイムの導入

課題
  • 保育の合間、隙間時間を見つけて事務作業をするが捗らない
  • 子どもと関わる時間が長く、ゆとりを持った保育が難しい
効果
  • 集中して事務作業を行うことで効率よく作業を進めることができる
  • よい意味で日常の保育や子どもと距離をとることで新鮮な気分になり、余裕を持って子どもと関わることができる
改善のポイント
  • ノンコンタクトタイムは休憩時間とは異なり、勤務時間中に子どもと関わらずに事務作業や打ち合わせなどの業務をする時間のことを指す。実施するうえで、保育から離れることに不安感を持つかもしれないが、連携しながら保育をするようになることが結果として保育の質向上にも繋がる
  • ノンコンタクトタイムは、まずは無理のない範囲での時間設定をし、できるところから始めてみるのがよい
取組の進め方
  • 「働き方の見直し」の事例1〜3を参考に業務負担軽減に取り組み時間を確保する
  • 30分などの短い時間からノンコンタクトタイムの導入を検討
  • 職員会議などでノンコンタクトタイム導入の意図を説明
  • 実際に導入をし、課題が生じた場合は改めて検討
工夫&配慮
  • ノンコンタクトタイムは業務時間であり、休憩とは別である点に留意
  • 一部の人のみではなく、平等にその機会が確保できるようにタイムマネジメントすることが大切

まとめ

シリーズ最終回となる本記事では、業務改善の導入・実施に向けたアクションプランについて取り上げました。これまでの内容を参考に、ぜひご自身の園での業務改善にお役立てください。業務改善は一度実施して終わりではなく、継続的な見直しと改善が求められます。皆さんの園がより良い環境となるよう一歩ずつ進めていきましょう!

(参考:令和2年度保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン(PDF/4,297KB)