保育所における全体的な計画について徹底解説!作成時のポイントを紹介

皆さんの保育園では、「全体的な計画」について、どのように取り組んでいますか? 2017年の保育所保育指針の改定によって、「保育課程」から「全体的な計画」へと表現が変わりましたが、具体的に何が変わったのか、どのように作成すればよいのか迷っている保育士さんも多いかもしれません。
今回は、そんな「全体的な計画」について、基本的な部分から作成時のポイントまで、実務に役立つ形でお伝えします。少しでもお役に立てればと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

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全体的な計画とは?

全体的な計画とは

全体的な計画とは、保育所が提供する保育の「設計図」と言えるものです。具体的には、園の目標や目指す子ども像、育んでいきたい資質や能力に基づき、0歳から6歳までの子どもの発達を見通して策定されるものです。この計画は、保育所の保育指針に従いながら、園の特徴や地域の特性、保護者のニーズを踏まえて作成されます。

全体的な計画は、単なる書類ではなく、園全体で子どもたちに提供する保育の方針や方向性を示す大切なツールです。これに基づき、年間指導計画や月案、週案といったより具体的な計画が作られていきます。

保育課程や指導計画との違い

保育課程や指導計画との違い

保育課程からの変更点

従来の「保育課程」と「全体的な計画」にはいくつかの重要な変更点があります。特に注目すべき点は、以下の3つです。(を押すと詳細文が表示されます)

保育課程からの変更点
  • より包括的な視点が導入された

  • 以前の保育課程は、日々の保育活動に重点を置いていましたが、全体的な計画では、子どもたちの長期的な成長や発達を見通した計画が求められるようになりました。これにより、個々の保育活動だけでなく、子どもの成長過程全体を考慮した保育が重要視されています。
    具体的には、0歳から6歳までの子どもたちが、年齢に応じてどのような資質や能力を育んでいくのか、長期的な目線で計画を作成する必要があるということです。例えば、「身体的発達」だけでなく、「社会性の発達」や「自己表現の能力」など、多面的な発達を支える内容を考慮することが求められています。
  • 子育て支援の視点が強化された

  • 全体的な計画には、保護者との連携や支援活動を計画的に行うことが重要視されています。以前の保育課程では、主に子どもたちのケアに焦点が当てられていましたが、全体的な計画では、保護者への子育て支援をより積極的に取り入れることが強調されています。
    具体的には、保護者への相談窓口の設置や、保育所での子育て講座の実施、家庭と園が連携して行う行事などが例に挙げられます。保護者が安心して子育てできるよう、保育者が保護者に対してサポートを提供することが、計画の中で明確に位置づけられています。
  • 園の独自性が出しやすくなった

  • 全体的な計画では、各園が地域や保護者のニーズに応じて、独自の取り組みや特色を反映させることが推奨されています。従来の保育課程では、国の指針に従った一般的な内容が求められていましたが、全体的な計画では、園ごとの特性を活かした柔軟な対応が求められます。
    具体例としては、地域の特性に合わせたプログラムの導入が考えられます。例えば、都市部の保育所であれば交通安全教育を重視し、自然環境に恵まれた地域では外遊びや農作業体験を計画に組み込むことができる、といった形で、各園がその特色を活かした独自の保育方針を打ち出すことが可能です。

このように、全体的な計画は、保育の質を確保しつつ、地域社会や保護者との連携を深めるための重要な役割を果たします。

指導計画との関係性

全体的な計画と指導計画との関係性

全体的な計画は、年間指導計画や月案、週案などの指導計画の上位に位置します。指導計画は、全体的な計画に基づいて作成され、保育の現場で具体的にどのような活動を展開するかが示されます。したがって、全体的な計画をしっかりと策定することが、日々の保育を支える基盤となります。

保育課程と全体的な計画の違いを見てみましょう。

第4章 保育の計画及び評価(2008年)

保育所は、第1章(総則)に示された保育の目標を達成するために、保育の基本となる「保育課程」を編成するとともに、これを具体化した「指導計画」を作成しなければならない。

保育課程及び指導計画(以下「保育の計画」という。)は、すべての子どもが入所している間、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、柔軟で発展的なものとし、また一貫性のあるものとなるよう配慮することが重要である。保育所は、保育の計画に基づいて保育し、保育の内容の評価及びこれに基づく改善に努め、保育の質の向上を図るとともに、その社会的責任を果たさなければならない。

第1章(総則)全体的な計画の作成(2018年)

保育所は、保育の目標を達成するために、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して総合的に展開されるよう全体的な計画を作成しなければならない。
全体的な計画は、子どもや家庭の状況、地域の実態、保育時間などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しをもって適切に作成されなければならない。 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。

全体的な計画に含めるべき内容

全体的な計画の内容

全体的な計画には、以下のポイントを必ず含めるようにしましょう。

  • 保育理念・保育方針
    園の理念や方針を明確に示し、それに基づいて保育を行うことが基本です。
  • 保育目標
    子どもたちがどのような資質や能力を身につけるべきか、具体的な目標を設定します。
  • 発達過程
    各年齢段階での発達の特徴や、子どもたちに期待する成長過程を考慮します。
  • 養護に関する事項
    子どもたちの健康や安全を守るための具体的な養護の方針を含めることが大切です。
  • 教育に関する事項
    子どもたちの興味や関心に基づいた教育活動を計画します。
  • 食育の計画
    食育は、子どもたちの健全な発達に大きく関わるため、食育に関する方針も計画に盛り込みます。
  • 子育て支援
    保護者と連携し、子育て支援をどのように行うかを計画します。

作成時の重要ポイント

全体的な計画 作成時のポイント

全体的な計画を作成する際には、以下のポイントを考慮しましょう。

園の特性を活かす

  • 立地環境の特徴
    園の周囲の自然環境や施設の立地条件を活かした計画を作ることが大切です。
  • 地域の文化や特性
    地域社会の文化やニーズを反映した内容にしましょう。
  • 職員体制
    正規職員や非常勤職員、パート職員などの勤務形態を考慮し、全員が協力しやすい体制を整えることが必要です。

子どもの実態を反映する

全体的な計画_子どもの実態を反映する
  • 年齢構成や発達の特徴
    園児の月齢や発達段階に合わせて計画を立てます。
  • 家庭環境の多様性に配慮する
    保護者のニーズや家庭環境を反映し、家庭と連携を図りやすい計画にしましょう。

定期的な見直し

全体的な計画_定期的な見直し

全体的な計画は、一度作成したら終わりではなく、定期的な見直しと改善が必要です。園の状況や子どもたちの成長、保護者の意見を反映し、計画を柔軟に修正していくことで、より質の高い保育を提供することができます。全職員が計画を共有し、改善案を出し合うことで、保育の質を常に向上させましょう。


参考例

インターネット上で公開されている全体的な計画を参考にするのもよいでしょう。3園の外部リンクを貼っておきます。

ひいらぎこども園

大宮すこやか保育園

明星っ子こども園

まとめ

全体的な計画は、園の保育の質を左右する重要な設計図です。子どもたちの最善の利益を第一に考え、園の特性や地域のニーズを反映させた、実践可能な計画を作成しましょう。また、計画を策定した後も、定期的に見直し、より良い保育を目指して改善していくことが大切です。全職員が連携し合い、互いに切磋琢磨しながら、子どもたちにとって最適な環境を提供できるよう努めていきましょう。

Q&A

Q
全体的な計画は毎年作り直す必要がありますか?
A

毎年一から作り直す必要はありませんが、定期的に評価し、必要に応じて修正を加えることが大切です。

Q
全体的な計画は誰が作成するものですか?
A

園長を中心に、主任保育士やクラス担任が協力して作成します。全職員で内容を共有し、意見を出し合いながら進めることが重要です。

Q
保護者に全体的な計画を公開する必要はありますか?
A

法的な義務はありませんが、保育の透明性を高め、保護者との信頼関係を築くために、要点をまとめて公開することをお勧めします。

Q
全体的な計画と年間指導計画はどのように関連していますか?
A

全体的な計画に基づいて年間指導計画が立てられ、実際にどのように保育を行うかを具体化していきます。全体的な計画が大枠の方針を示し、それに従って年間や月、週の計画が具体化されます。