2023年度から保育所等で「安全に関する事項についての計画」いわゆる安全計画の作成が義務付けられました。義務化の契機となったのは、送迎バス内に置き去りにされた園児が亡くなる事案が連続して発生したことでした。義務化以前から安全計画を独自に作成していた園においても、防災面に加え、園生活の様々な場面での安全性を確保できる内容かどうか改めて検討する必要があります。本記事では、安全計画を策定する際のポイントや具体的な計画例を紹介します。
安全計画のポイント
安全計画を策定する際、ただ単に項目を増やすだけではなく、現場での実践性や効果を重視した内容にすることが必要です。以下の3つのポイントを意識して安全計画を立てます。
量より質を重視

安全計画は、あれもこれもと盛り込みすぎると、結局実行に移すことが難しくなります。それよりもむしろ重要な項目に絞り、実際の現場で確実に実行できる内容にします。具体的な目標や対応策を明確にして、計画が形式的にならないようにしましょう。
園環境に合わせること
一般的なマニュアルに基づく安全対策ではなく、自分たちの園の環境に即した計画を作ることが大切です。高潮や噴火などの災害の可能性があるor交通量が多く道が狭いなど、園特有の環境に合わせて計画を立てます。
計画を振り返ること

策定した安全計画はそれで終わりではなく、定期的に見直すことも忘れてはなりません。年度末には、計画に沿って実践できたか、足りない内容はなかったか等を振り返り、場合によっては計画を再策定します。
安全計画のフォーマット
これは厚労省が例示した「保育所安全計画」のフォーマットです。(こども家庭庁HPより引用)安全点検、安全指導、保護者との共有、訓練・研修などのスケジュールがそれぞれの表でまとめられており、マニュアル策定・共有の一覧表もあり、園で大いに活用できるでしょう。
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【4月、3月編】安全計画をつくってみよう!
それでは早速、厚労省のフォーマットを参考に安全計画を策定しましょう。本記事ではそれぞれ年度始め、年度終わりの4月、3月の計画を紹介します。この計画を参考に、自園の環境に合わせてカスタマイズしてくださいね。
4月のテーマ
散歩時の安全
安全点検
施設・設備
- 遊具の安全点検
- 公園までの道路上の安全点検
- 公園などの施設の安全点検
安全な環境づくり
- ヒヤリハット事例を週ごとに共有
- 購入安全マニュアル、散歩マップの確認
園児への安全指導
- 安全な遊具の使い方の確認
- 散歩時のルールの確認
園児と行う訓練
- 地震の避難訓練
- 交通安全教室
職員研修・訓練
- 自身発生時の対応訓練
- 乳幼児突然死症候群予防確認研修
保護者との情報共有
- 災害リスクや災害時の連絡、引き取り方法の共有
- 預かり備蓄の提出依頼
3月のテーマ
1年の振り返り
安全点検
施設・設備
- 照明器具の安全点検
- 園庭の遊具の点検・整備
- 防災グッズの保管場所の把握と整理
安全な環境づくり
- 安全計画の見直し
- 緊急連絡先の整理
- 災害時の通信、情報収集手段の見直し
園児への安全指導
- 小学校付近の安全な歩き方(年長児)
園児と行う訓練
- 水害避難訓練
職員研修・訓練
- 園の重大事故事例や当年度のヒヤリハット事例振り返り
保護者との情報共有
- 預かり備蓄の返却
- 防災防犯対策や登降園時のルール等の共有
マンション・ビル内の園の場合

- メンテンス業者の点検を受ける
- 防火管理者立会いのもと防災訓練の実施
津波の危険がある場合

- 予想危険地域や津波に関する知識を職員で共有
- 津波避難場所、非難ビルまでの経路の確認、保護者との共有
- 円から津波避難場所・避難ビルまでの避難訓練の実施
火山噴火の危険がある場合

- 火山災害のハザードマップの確認、保護者との共有
- 噴火に伴う諸現象に沿った災害対策マニュアル策定
- 噴火警報が発令された想定での避難訓練の実施
【まとめ】実効性のある安全管理を目指して
安全計画は書面で作成して終わるものではなく、計画どおり現場で実践することが何より重要です。そのためには、計画が具体的かつ現実的で、職員全員が内容をしっかりと理解し、日々の保育の中で活用できることが求められます。事故を未然に防ぎ、子どもたちの安全を確保できるよう、園全体で安全管理に努めましょう。
