保育要録のコツとは?小学校へ伝わる記述ポイント&文例集

保育要録は、子どもの幼児期の成長を記録し小学校へ引き継ぐ重要な書類です。しかし、「何を書けばいいのか分からない」「伝わる表現が難しい」と悩む保育士の方も多いのではないでしょうか?要録は単なる成長記録ではなく、子どもの個性や学びの過程を小学校の先生に伝える大切なツールです。だからこそ、具体的なエピソードや肯定的な表現を使い、分かりやすく記述することが求められます。本記事では、要録の基本から、伝わる書き方のコツ、5領域ごとの具体的な記述例まで解説します。読んですぐに実践できる、そんな内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

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保育要録ってなに?

札幌市保育所児童保育要録(様式)

保育要録(保育所児童保育要録)とは、幼児の成長や発達の記録をまとめた公式な書類です。幼稚園や保育所を修了する際に作成され、小学校に引き継がれます。要録には、子どもの成長過程や学びの状況、生活習慣などが記載され、小学校の先生が子どもを理解するための大切な資料となります。

なぜ要録を作るの?

要録は、子どもの成長を継続的に支えるために以下の重要な役割を果たします。

  • 子どもの発達の記録
    園での成長の様子を記録し、小学校入学後の指導に活かす。
  • 教育の連携
    幼児期の学びが小学校教育につながるようにする。
より詳しく!

小学校との連携(引用:保育所保育指針平成29年告示)

  • 保育所においては、保育所保育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼児期にふさわしい生活を通じて、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。
  • 保育所保育において育まれた資質・能力を踏まえ、小学校教育が円滑に行われるよう、小学校教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け、第1章の4の⑵に示す「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」を共有するなど連携を図り、保育所保育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努めること。
  • 子どもに関する情報共有に関して、保育所に入所している子どもの就学に際し、市町村の支援の下に、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすること。

伝わりやすい要録にするためのポイント

要録ではただ情報を羅列するだけでは、子どもの姿が十分に伝わらないこともあります。ではどのように書けば、小学校の先生が子どもの個性や成長を理解しやすくなるのでしょうか?ここでは、伝わりやすい要録にするためのポイントを紹介します。

①具体的なエピソードを交える

抽象的な表現ではなく、子どもの実際の行動や発言を記録するとより伝わりやすくなります。

②肯定的な表現を用いる

「できない」ではなく、「現在取り組んでいる」「興味を持ち始めている」など、前向きな表現を心がけます。

文字や数に関心がなく、読み書きができない

集団では文字や数の話に集中できないが、保育者が1体1で向き合うと興味を示す。

③他の子どもと比較しない

要録は子どもの育ちの過程を記録するものです。優劣をつけて評価するものではありません。子どもの成長過程を捉えるようにします。他の子どもと比べて記述するのではなく、「10の姿」を活用しその姿に向かってどのように成長しているのか記述します

他の子どもと比べて動作がゆっくりしている。特に着替えに時間がかかる。保育者が手伝えば急ぐことができる。

動作がていねいで何事もマイペース。着替えのときも洋服をきちんとたたむので時間がかかるが、保育者が促すと急いで終えようとする

④簡潔で分かりやすい文章

長すぎる説明は避け、簡潔で要点を押さえた文章を書くことが大切です。

⑤事実に基づく記述

主観的な評価ではなく、事実をもとに記載します。子どもについて自分が感じたことを事実であるかのように断定的に書くのはNGです。感想や推測と事実を混同しないようにしましょう。

全体的におとなしく意欲がない

積極的に人前に出ることはないが、仲の良い友達とは楽しそうに話をしている。

5領域ごとの書き方のポイント

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえ、5領域ごとに記述します。それぞれの領域において、子どもの成長がどのように表れているかを具体的に記録することで、小学校の先生が子どもの個性や学びのプロセスを理解しやすくなります。記述する上で押さえおきたいポイントをまとめました。

①健康

ねらい

  1. 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
  2. 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
  3. 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する。
記述のポイント
  • 生活習慣は身についているか
    着替えや食事、排泄など生活習慣が身についているか記載します。
  • 子どもの体調と配慮
    子どもの普段の体調や気質について、注意点や具体的な援助の方法を記載すると、小学校での指導に役立ちます。
  • 清潔を保つ、安全面への配慮
    身の回りを清潔に保っているか、あそびの中で自分や友だちの安全に注意を払えているかなどを記載。

【健康】文例

  • 食べ物に好き嫌いがなく、食事のマナーを守ってよく食べる。しかしマイペースでよく噛んで食べるため、完食までに時間がかかってしまうことがあった。
  • 汗をかきやすく、放っておくと体を冷やすなどして体調を崩すことがある。着替えを持たせるようにして、状況を見て保育者が声をかけるようにした。
  • ルールをきちんと理解し、積極的に行動できる。ルールを守ることで気持ちよく過ごせることが分かっていて、ゲームにおけるルールの理解度も高い。

②人間関係

ねらい

  1. 保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  2. 身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ。
  3. 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
記述のポイント
  • 友だちや保育者との関わり
    友だちや保育者とコミュニケーションが十分とれているか、相手の気持ちを思いやる心の成長などについて記載。
  • 集団生活とルールは身についているか
    集団生活におけるルールを子ども自身がどのように捉え、認識しているかについて記載。
  • 異年齢や地域との交流
    遊びの中で、年下の子どもの面倒をみたり、地域の方々とどのような交流があったかについて記載

【人間関係】文例

  • よく気が付いて思いやりがあり、友だちの嬉しさや嫌だという気持ちに寄り添うことができる。
  • みんなで一つのことに取り組むときに、主張したいことがあっても言い出せないことが多かった。保育者に促されて発表したことが褒められてから、心に秘めた思いを活動の中で少しずつ表現できるようになった。
  • 同じ年齢の友だちと遊ぶことが少なく、年下のクラスに行って遊んでいることが多かった。同年齢の友だち同士の遊びに誘えば参加するが、自分からは入っていかない点が今度の課題である。

③環境

ねらい

  1. 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で、様々な事象に興味や関心をもつ。
  2. 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。
  3. 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。
記述のポイント
  • 自然や生き物への興味・関心
    身近な自然や生き物との関わりを記載。
  • 命を大切にする気持ちの育み
    小さな生き物にも命があり、大事に思う気持ちが育まれているかについて記載
  • 社会や文化、数量、図形などへの関心
    自分を取り巻く社会や文化、図形、数字、標識、文字への関心について記載

【環境】文例

  • 身近で観察できる動植物に対する興味や関心が強い。細かなところまで観察してきては図鑑で調べたり、動植物の絵本を読むことが好きである。
  • 園庭に植えた花や野菜に、水やりなどの世話を進んで行った。植物の背丈が伸びたなど、植物の生長に気づき、喜びを他児に伝えたりしていた。
  • 絵本をよく見ていたが、文字に興味を持ち、少しずつ読めるようになってきた。優しい絵本などを小さい子に読んで上げたりしている。

④言葉

ねらい

  1. 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  2. 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
  3. 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、保育士等や友達と心を通わせる。
記述のポイント
  • 自分の気持ちを言葉で表す
    自分の思いや考え、不安などを自分なりに言葉で表現する姿を記載。
  • 相手の話を理解する
    人の話を聴き、理解するという姿についてその育ちを記載。
  • 絵本や文字への関心
    絵本や物語に興味を持ち、楽しむ姿を記載。

【言葉】文例

  • 「おはよう」「こんにちは」の挨拶がきちんとできる。また「ありがとう」や「ごめんなさい」も状況に応じて気持ちを込めて言うことができる。
  • 集団でいる時に、落ち着いて話を聴くのが苦手である。がまんできずに途中で言葉を発したり、その場にじっとしていられずフラフラと歩き回ることがある。
  • 自分から積極的に話すことはしないが、人の話を聴くのが好きである。友だちが数人で話しているところに誘われて、うんうんとうなずきながら楽しそうにしていることが多い。

⑤表現

ねらい

  1. いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
  2. 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  3. 生活の中でイメージを豊かにし、さまざまな表現を楽しむ。
記述のポイント
  • 美しいものを愛でる姿
    花や絵画、音楽など、その子どもが心を動かされた物事について記載。
  • 感じる力、表現する力の成長
    自分の感じたイメージを自分なりに表現する力とその成長を記載。
  • 工夫する姿
    身近にあるものを工夫して使ったり、粘り強く自分の思いを形にしていく姿を記載。

【表現】文例

  • かわいらしい服装や小物が大好きで、アイドルに強い憧れを持っている。歌や踊りを覚えては友だちの前で披露し、ほめられることに喜びを感じている。
  • 自分なりのイメージを表現しようと、豊かな感性や造形活動ができる。指先が器用で、特に粘土遊びではユニークな形を表現してクラスで注目された。
  • 何か作るときに、自分の作りたいものが定まるまで時間がかかる。周りを気にせず、人のまねをすることなく、イメージするものを自分なりに工夫して表現する。

まとめ

保育要録は、子どもの成長を未来につなげる大切な書類です。単なる記録ではなく、子ども一人ひとりの個性や学びのプロセスを小学校へしっかり伝えるためには、具体的なエピソードを交え、肯定的かつ分かりやすい表現を心がけることが重要です。本記事で紹介したポイントや文例を活用しながら、子どもの姿が伝わる要録作成に挑戦してみてください。