幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿とは?実践例で見る保育のポイント

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿。その一つひとつが、私たち保育者の実践と子どもたちの成長を支える重要な指針となります。しかし、具体的にどんな関わり、どんな活動が子どもたちの成長に繋がるのでしょうか?本記事は、保育所保育指針が掲げる10の項目に基づき、保育現場で今日からできる具体的な実践方法を豊富にご紹介します。

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健康な心と体

保育所の生活の中で、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。

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  • 安定感や解放感を持ちつつ、心と体を十分に働かせながら充実感や満足感を持って環境に関わり行動するようになる
  • 全身を使って活動することを繰り返す中で、体を動かす様々な活動に目標を持って立ち向かったり、困難につまずいても気持ちを切り替えて自分なりに乗り越えようとしたりして根気強くやり抜くことで活動意欲を満足させ、自ら体を動かすようになる
  • 適切な活動を選び、体を動かす気持ちよさや自ら体を動かそうとする意欲を持ち、いろいろな場面に応じて体の諸部位を十分に動かし進んで運動するようになる
  • 様々な機会を通して食べ物への興味や関心を持ち、皆で食べると美味しく、楽しいという経験を積み重ね、和やかな雰囲気の中で話し合ったり打ち解けたりして親しく進んで食べるようになる
  • 健康な生活に関わりの深い人々に接したり、社会の情報を取り入れたりなどして、自分の健康に対する関心を高め、体を大切にする活動を進んで行い、健康な生活リズムを身に付けるようになる
  • 遊びや生活を通して安全についての構えを身に付け、危険な場所、危険な遊び方、災害時などの緊急時の適切な行動の仕方が分かり、安全に気を配り状況に応じて安全な行動がとれるようになる
  • 衣服の着脱、食事、排泄せつなどの生活に必要な活動の必要性が分かり、自分の力で行うために思い巡らしたり判断しようとしたり工夫したりなどして意欲や自信を持って自分でするようになる
  • 幼稚園における生活の仕方を身に付け、集団での生活や場の使い方などの状況を予測して準備し片付けたりなどして、自分たちの生活に必要な行動に見通しを持って自立的に取り組むようになる

園庭での運動遊びを通じた体力づくり

  • 縄跳び、鬼ごっこ、ボール遊びなど、子どもが自ら選んで取り組める環境を整える
  • 「今日は何回跳べるかな?」など、目標を持って取り組めるよう声掛けを行う

生活習慣の自立支援

  • 手洗い・うがいの習慣化
  • 自分で着替えができるよう、個々の発達に応じた支援

自立心

身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。

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  • 先生や友達と共に生活をつくり出す喜びを見出し、自分の力で行うために思い巡らしなどして自分でしなければならないことを自覚して行うようになる
  • 自己を発揮し活動を楽しむ中で先生や友達に認められる体験を重ねることを通して、自分のことは自分で考えて行い、自分でできないことは実現できるように工夫したり、先生や友達の助けを借りたりしてくじけずに自分でやり抜くようになる
  • 自分から環境に関わりいろいろな活動や遊びを生み出す中で、難しいことでも自分なりに考えたり工夫したりして、諦めず自分の力で解決しやり遂げ、満足感や達成感を味わい自らの生活を確立するようになる
  • 家族、友達、先生、地域の人々などと親しみ合い、幼児なりに支え合う経験を積み重ね、自分の感情や意志を表現し共感し合いながら、自分のよさや特徴に気付き自信を持って行動するようになる

当番活動の実施

  • 給食の配膳補助
  • お片付けリーダー
  • 朝の会の司会

製作活動での工夫

  • 材料や道具を自分で選択
  • 失敗しても最後まで取り組める工夫・支援

協同性

友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。

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  • 友達と積極的に関わり様々な出来事を共有しながら多様な感情の交流を通して、友達の異なる思いや考えなどに気付いたり、自己の存在感を感じたりしながら行動するようになる
  • 幼児同士の関わりが深まる中で互いの思いや考えに気付き、分かるように伝えたり、相手の気持ちを理解して自分の思いの表し方を考えたり、我慢したり、気持ちを切り替えたりなどしながら互いに関心を寄せ、分かり合えるようになる
  • 友達との関わりを通して互いの感じ方や考え方などに気付き、互いのよさが分かり、それに応じた関わりを通して、学級全体などで楽しみながら一緒に遊びを進めていくようになる
  • 人と共にいる喜びを感じ、学級皆で目的や願いを共有し志向する中で、話し合ったり、取りなしたり、皆の考え方をまとめたり、自分の役割を考えて行動したりするなどして折り合いを付け問題を解決し、実現に向け個々のよさを発揮し工夫したり、協力したりする楽しさや充実感を味わいながらやり遂げるようになる

グループ活動

  • 劇遊びの役割分担・練習
  • 栽培活動での水やり当番

行事を通じた育成

  • 運動会での団体競技
  • 生活発表会での合唱・合奏

道徳性・規範意識の芽生え

友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる。

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  • 他の幼児との葛藤などの様々な体験を重ね、してよいことや悪いことが分かり、自分で考えようとする気持ちを持ち、思い巡らしたりなどして自分の考えをより適切にしながら行動するようになる
  • 友達などの気持ちを理解し、他者の気持ちに共感したり、相手の立場から自分の行動を振り返ったりして、思いやりを持って関わり相手の気持ちを大切に考えながら行動するようになる
  • 学級の皆と心地よく過ごしたり、より遊びを楽しくしたりするために決まりのあることが分かり、守ったり、必要に応じて作り替えたり、新たに作ったりして考え工夫し守るようになる
  • 皆で使う物が分かり愛着を持ち、自他の要求に折り合いを付け大事に扱うようになる
  • 自分の気持ちを調整しながら、友達と折り合いを付けたり、取りなしたり取り持ったりして周囲との関わりを深め、決まりを守るようになる

絵本や紙芝居を通じた道徳教育

  • 思いやりや親切をテーマにした物語の読み聞かせ
  • 登場人物の気持ちを考える機会を設ける

日常的な関わりの中での指導

  • 順番を守ることの大切さ
  • 友だちの気持ちを考える声掛け

社会生活との関わり

家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気付き、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみをもつようになる。また、保育所内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりなどを意識するようになる。

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  • 親や祖父母など家族から愛されていることに気付き、自分なりに思い巡らしたり表現したりして、家族を大切にしようとする気持ちを持つようになる
  • 小学生・中学生、高齢者や働く人々など自分の生活に関係の深い地域の人々との触れ合いの中で、自分から親しみの気持ちを持って接し、自分が役に立つ喜びを感じるようになる
  • 四季折々の地域の伝統的な行事などへの参加を通して、自分たちの住む地域のよさを感じ、地域が育んできた文化や生活などの豊かさに気付き、一層親しみを感じるようになる
  • 目的に必要な情報を得て友達同士で伝え合ったり、活用したり、情報に基づき判断しようとしたりするようになる
  • 公共施設を訪れ、それが皆の物であり自分に関係の深い場であることが分かり、大切に利用するようになる
  • 国旗が掲揚される様々な行事への参加や、運動会などの行事において自分で国旗を作ったりして日常生活の中で国旗に接し親しみを感じることにより、日本の国旗や国際理解への意識や思いが芽生えるようになる

地域との交流

  • 高齢者施設への訪問
  • 地域のお祭りへの参加

家族への感謝の気持ちを育む活動

  • 父の日・母の日のプレゼント製作
  • 家族への手紙づくり

思考力の芽生え

身近な事象に積極的に関わる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり、気付いたりし、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様な関わりを楽しむようになる。また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気付き、自ら判断したり、考え直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをよりよいものにするようになる。

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  • 身近な環境に積極的に関わり、自分から気付いたり、発見を楽しんだり、考えたり、振り返ったり、それを別の場面で活用したりするようになる
  • 様々な環境に積極的に関わる中で、より深い興味を抱き、不思議に思ったことなどを探究するようになる。
  • 遊びが深まる中で、多様な関わりを楽しみ、予想したり、確かめたり、振り返ったりして興味や関心を深めるようになる
  • 友達などの様々な考えに触れる中で、自己の思いや考えなどを自ら判断しようとしたり考え直したりなどして、新しい思いや考えを生み出す喜びを味わいながらよりよいものにするようになる
  • 物との多様な関わりの中で、物の性質や仕組みについて気付き、思い巡らし物を使いこなすようになる
  • 身近な物や用具などの特性や仕組みを生かしたり、いろいろな予想をしたりし、楽しみながら工夫して使うようになる

科学遊び

  • 色水遊びでの色の変化観察
  • 氷を溶かす実験

自然観察

  • 季節の変化への気づき
  • 生き物の観察と記録

自然との関わり・生命尊重

自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気付き、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもって関わるようになる。

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  • 自然に触れて感動する体験を通して、自然の大きさや不思議さなどを感じ、好奇心や探究心を持って、思い巡らし言葉などで表しながら、科学的な視点や、自然への愛情や畏敬の念などを持つようになる
  • 同じものでも季節により変化するものがあることが分かり、変化に応じて遊びや生活を変えるようになる
  • 自然現象を遊びに取り入れたり、自然の不思議さをいろいろな方法で確かめたりして、身近な事象への関心が高まるようになる
  • 共に遊んだり、世話をしたりなどする中で、生き物への愛着を感じ、生命の営みの不思議さや生命の尊さに気付き、生命の素晴らしさに感動して、身近な動植物を命あるものとしていたわり大切にする気持ちを持って関わるようになる

生き物の飼育

  • カブトムシの飼育
  • 野菜の栽培と収穫

自然体験

  • 落ち葉拾い&製作
  • 雨の日の水たまり遊び

数量・図形、文字等への関心・感覚

遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりし、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚をもつようになる。

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  • 遊びや生活の中で自分たちに関係の深い数量、長短、広さや速さ、図形の特徴などに親しむ体験を重ね、必要感から数えたり、比べたり、組み合わせたりすることを通して、数量・図形等への関心・感覚が高まるようになる
  • 遊びや生活の中で標識や文字が人と人をつなぐ役割を持つことに気付き、読んだり、書いたり、使ったりすることを通して、文字等への関心・感覚が高まるようになる

日常生活での数量体験

  • おやつの配布での数え方
  • カレンダーでの日付確認

文字に親しむ活動

  • 名前カードの活用
  • 絵本の表紙の文字探し

言葉による伝え合い

保育士等や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。

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  • 相手の話の内容を注意して聞いて分かったり、自分の思いや考えなどを伝える相手や状況に応じて分かるように話したり、話し合ったりするなどして、考えをまとめ深めるようになり、言葉を通して先生や友達と心を通わせるようになる
  • イメージや思い巡らしたりしたことなどを言葉で表現することを通して、遊びや生活の中で文字などが果たす意味や役割、必要性が分かり、必要に応じて具体的な物と対応させて、文字を読んだり、書いたりするようになる
  • 絵本や物語などに親しみ、自分の未知の世界に出会うなどしながら興味を持って聞き、思い巡らすなどの楽しさに浸ることを通して、その言葉の持つ音の美しさや意味の面白さなどを友達と共有し、必要に応じて言葉による表現を楽しむようになる
  • 幼稚園生活を展開する中で、新たな環境との出会いを通して、幼児の持っている言葉が膨らんだり、未知の言葉と出会ったりする中で、新しい言葉や表現に関心が高まり、それらの獲得に楽しさを感じるようになる

対話をする活動

  • 朝の会での体験発表
  • 絵本の読み聞かせ後の感想の共有

言葉選び

  • しりとり
  • なぞなぞ

豊かな感性と表現

心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。

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  • みずみずしい感性を基に、生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ、思いを膨らませ、様々な表現を楽しみ、感じたり考えたりするようになる
  • 遊びや生活の中で感じたことや考えたことなどを音や動きなどで楽しんだり、思いのままにかいたり、つくったり、演じたりなどして表現するようになり、友達と一緒に工夫して創造的な活動を生み出していくようになる
  • 自分の素朴な表現が先生や他の幼児に受け止められる経験を積み重ねながら、動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだり、友達と一緒に表現する過程を楽しんだりして、表現する喜びを味わい、表現する意欲が高まるようになる

造形活動

  • 自由画帳での描画
  • 粘土遊び

音楽表現活動

  • リトミック
  • 楽器遊び

まとめ

「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」は、日々の保育の中で相互に育まれていきます。子ども一人一人の発達に応じて支援し、以下のポイントを押さえながら保育を進めることが大切です。

  • 子どもの主体性を尊重する
  • 遊びを通じて総合的に指導する
  • 個々の発達段階に応じた支援を行う
  • 家庭との連携を深める
  • 記録と評価を通じて保育の質を向上させる

これらを心がけることで、子どもたちの健やかな成長を支援していきましょう。

参考:
保育所保育指針(平成29年3月31日)
幼児教育部会における審議の取りまとめ(平成28年8月26日)