保育現場では、感染症対策は欠かせない課題です。基本的な知識を正しく理解し、適切な対応をすることで、子どもたちや保育士自身の安全を守ることができます。本記事では、感染症の仕組みや種類、現場での具体的な注意点について分かりやすく解説します。
感染症とは?その仕組みを理解しよう
感染症とは、病原体(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など)が体内に侵入し、増殖することで発生する疾患です。これにより、発熱や咳、下痢といった症状が引き起こされることがあります。
感染症の3大要因
感染症が発生するためには、次の3つの要因が揃う必要があります。
なぜ保育現場で感染症が広がりやすいのか?

保育施設は子どもたちが密に接する環境であり、以下の要因から感染症が広がりやすいといえます。
これらを踏まえ、園内で感染症が発生した際には「流行を最小限に抑える」ことを目標とした対策が必要です。
感染症の種類と特徴

感染症には多種多様な病原体が関与しています。それぞれの病原体が引き起こす症状や特徴を把握することで、早期に対応できるようになります。感染症をウイルス、細菌、真菌、寄生虫の4つのタイプに分けて、代表的な感染症とその特徴についてまとめました。
①ウイルス感染症
| 代表例 | インフルエンザ、ノロウイルス、RSウイルス |
| 症状 | 発熱、咳、下痢、嘔吐など |
| 特徴 | ワクチンが予防に有効な場合も多い |
②細菌感染症
| 代表例 | 溶連菌感染症、肺炎、結核 |
| 症状 | 喉の痛み、発疹、発熱など |
| 特徴 | 抗生物質で治療可能なことが多い |
③真菌感染症
| 代表例 | 白癬(水虫)、カンジダ症 |
| 症状 | 皮膚のかゆみや赤み |
| 特徴 | 湿度や温度が高い環境で発生しやすい |
④寄生虫感染症
| 代表例 | ギョウチュウ感染症 |
| 症状 | 肛門周囲のかゆみ |
| 特徴 | トイレ後や食事前の手洗いが予防に有効 |
感染経路と対策ポイント

感染症はどのように広がるのかを理解することが、予防策を立てる上で大切です。感染経路にはいくつかのタイプがあり、それぞれに適した対策をまとめました。
感染経路の3タイプ
| 種類 | 特徴 | 対策 |
| 接触感染 | 手や物を介して病原体が侵入 | 頻繁な手洗い、共有物の消毒 |
| 飛沫感染 | 咳やくしゃみの飛沫で感染 | マスク着用、適切な距離を確保 |
| 空気感染 | 微細な粒子に乗った病原体が空気中を漂う | 換気の徹底 |
保育士に求められる感染症への対応力
保育施設では、子どもの健康を守るために感染症への迅速な対応が求められます。特に保育士には、日々の保育活動を通じて子どもの体調変化を見逃さず、早期発見と適切な対処を行う力が必要です。そのため、普段から子どもたち一人ひとりの健康状態を把握し、小さな変化を保護者に丁寧に伝えることが重要となります。
大事なポイント3点
- 子ども一人一人の元気なときの「平熱」を知っておく
- 子どもの症状を見るポイントを理解する
- 今までなかった発疹に気づいた場合
・他の子どもたちとは別室に移す
・発疹以外の症状がないか、時間とともにどう変化するか観察
・一緒に遊んでいた子どもの中に、感染症が疑われる症状がみられる子どもがいないか確認
子どもの症状を見るポイント

子どもたちは自分の体調を正確に言葉で伝えることが難しいため、保育士がその変化を敏感に察知することが重要です。体の各部位ごとに確認すべきポイントをまとめました。
| 見るポイント | 症状・特徴 |
| 顔色・表情 | ・顔色がいつもと違う、ぼんやりしている ・視線が合わない、目つきがおかしい ・無表情 |
| 目 | ・目やにがある ・目が赤い ・まぶたが腫れぼったい ・まぶしがる |
| 耳 | ・痛がる ・耳だれがある ・耳をさわる |
| 鼻 | ・鼻水がでる ・鼻づまり ・小鼻がピクピクしている |
| 口 | ・唇の色が悪い、紫色 ・口の中が痛い ・舌がいちごのように赤い |
| のど | ・痛がる ・赤くなっている ・声がかれている ・咳がでる |
| 胸 | ・呼吸が苦しそう ・ゼーゼーする ・胸がへこむ |
| お腹 | ・張っていて触ると痛がる ・股の付け根が腫れている |
| 皮膚 | ・赤く腫れている ・湿疹がある ・カサカサしている ・水疱や化膿、出血している ・傷がある |
| 食欲 | ・普段より食欲がない |
| 睡眠 | ・泣いて目が覚める ・目覚めが悪く機嫌が悪い |
| 便 | ・回数、量、色の濃さ、においがいつもと違う ・下痢、便秘 ・血便がでる ・白色便がでる |
| 尿 | ・回数、量、色の濃さ、においがいつもと違う ・血尿がでる |
保育現場で注意すべき具体的事例

感染症の予防策を考える際、実際に保育現場で起きた事例を知ることが非常に役立ちます。実際に感染症が発生した際、どのように対応したのかを知ることで、より実践的な対策を身につけることができます。
ウイルス感染症のケース
インフルエンザ
年末にインフルエンザが流行し、5人の園児が発熱
| 対応策 | 工夫 |
| 流行拡大を防ぐため、学級閉鎖を検討。保護者へ速やかに情報提供し、予防接種を推奨 | 洗い指導に加え、保育室の加湿器を利用して湿度を50~60%に保つ |
ノロウイルス
嘔吐を伴う症状が2人の園児に発生
| 対応策 | 工夫 |
| 汚物の適切な処理(使い捨て手袋とエプロンを使用)。感染経路を断つために共有玩具を全て消毒 | 特に手指衛生の指導を徹底し、感染の連鎖を防止 |
細菌感染症のケース
溶連菌感染症
3歳児クラスで喉の痛みを訴える子どもが3人
| 対応策 | 工夫 |
| 汚物の適切な処理(使い捨て手袋と医療機関の受診を促し、保護者に症状が軽快するまでの登園自粛をお願い | 汚物の適切な処理(使い捨て手袋と医療機関の受診を促し、保護者に症状が軽快するまでの登園自粛をお願い |
真菌・寄生虫感染症のケース
白癬(水虫)
園庭の砂場で遊んでいた子どもの足にかゆみと赤みの症状が出現
| 対応策 | 工夫 |
| 砂場の清掃頻度を上げるとともに、裸足での遊びを制限 | 使用後の遊具を消毒し、感染源を減らす |
ギョウチュウ感染症
保護者から夜間、園児が肛門周囲のかゆみを訴えていると報告を受ける
| 対応策 | 工夫 |
| 保護者へ受診をすすめ、適切な駆虫薬の使用を開始 | 定期的に爪を切る習慣を園児に教える |
まとめ

感染症についての基本的な知識を深めることで、予防策の効果が高まり、子どもたちの安全を守る力が強化されます。日々の保育の中で役立つ知識を積極的に学び、感染症のリスクを最小限に抑える環境づくりを目指しましょう。

