春の季節の変わり目は風邪や花粉症などの健康問題が増える時期。特に子どもは感染症に罹りやすく、保育園では常に清潔さを保つことが必要です。本記事では消毒薬の種類ごとにそれぞれの用途や特徴を解説します。たくさん種類があってどの消毒薬を使えばいいのかわからない、こんな時どの消毒薬を使えばいいの?そんな保育士さんの悩みや疑問を解決します。また感染経路別の対策をまとめました。季節の変わり目であるこの時期、自園の感染症対策を振り返ってみましょう。
【サツドラを見学】種類がたくさんあって悩む




札幌ではお馴染みのサツドラ(サッポロドラッグストア)に行って消毒薬の販売コーナーを見学してきました。商品のバリエーションが豊富な上に、商品ごとの主成分を見ると塩化ベンザルコニウムや次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、ヒアルロン酸ナトリウムなど様々で、一体何を基準に消毒薬を選んでよいのか悩んでしまいます。
種類別の用途・特徴
市販では様々な成分の消毒薬が取り扱われていますが、ここでは保育施設で多く利用されている微弱性次亜塩素酸水・次亜塩素酸ナトリウム・アルコール系(エタノール等)の3種類の成分に絞ってその用途、特徴・留意点を解説します。種類ごとの比較表をみれば、こんな時どの消毒薬を使えばいいの?の疑問が解消できますよ。
微弱性次亜塩素酸水

高純度次亜塩素酸水溶液
簡単生成パウダー
| 用途 | おむつ交換台やトイレの便座、洗面台など、水拭きができる場所の消毒に適しています。食器や食器洗い機など、食品関連の衛生管理にも利用します。 |
| 特徴 | 強力な殺菌作用を持ち、ウイルスやカビ、細菌など広範囲の微生物を除去します。安全性が高く、食品の残留物や傷口の消毒にも使われます。 |
| 留意 | 紫外線や空気に触れたり、振動などで有効成分が減少します。 |
次亜塩素酸ナトリウム

| 用途 | 嘔吐物や排泄物などの拭き取りや付け置きに利用できるのが一番の特徴 おむつ交換台やトイレの便座、洗面台など、水拭きが可能な場所の消毒に適しています。 おもちゃや遊具、机や椅子など、表面の消毒にも利用されます。 |
| 特徴 | 強力な殺菌作用を持ち、ウイルス、細菌、カビなど広範囲の微生物を効果的に除去します。 高い消毒効果がありながら、安全性が比較的高いため、子供たちが触れる場所でも安心して使えます。 |
| 留意 | 酸性物質と混ぜると有毒な塩素ガスが発生する場合があります。 |
★次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは違うもの
名前は似ていますが次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは全くの別物です。次亜塩素酸水は弱酸性なので皮膚へのダメージが少なく手軽に使えるので除菌として活用するのであれば次亜塩素酸水がおすすめです。また除菌効果も次亜塩素酸ナトリウムよりも高いです。次亜塩素酸ナトリウムは塩素系漂白剤が主成分であり、塩素系漂白・消毒剤として利用するのが一般的です。嘔吐物には次亜塩素酸ナトリウムを使用すると押さえておきましょう。
アルコール消毒液(エタノール等)

| 用途 | 保育室の共用品やおもちゃ、机や椅子などの表面の消毒に適しています。手指の消毒に使用します。 |
| 特徴 | 70%程度の濃度が効果的です。ウイルスや細菌を効果的に除菌します。乾きが早く、香りが軽いものもあります。 |
| 留意 | 刺激性があるので傷や手荒れがある手指には使わない。 |
種類ごとの比較表
成分ごとに消毒薬の効果について表にまとめました。
| 微酸性 次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム | アルコール消毒液 (エタノール等) | |
|---|---|---|---|
| 除菌力 | ◎ | 〇 高濃度で効果あり | △ 一部の菌には効果なし |
| 対ウイルス効果 | ◎ | 〇 ウイルス不活化まで時間がかかる | △ 一部のウイルスに効果なし |
| 濡れた場所に使えるか | ◎ | 〇 | × |
| 保育園で使うなら | 保育室内(トイレの便座やドアノブ等) 衣類・シーツ・遊具等 | 嘔吐・排泄物 | 手指 遊具や室内環境(トイレの便座やドアノブ等) |
感染経路別の対策
感染経路別として飛沫感染、空気感染、接触感染の3つについてそれぞれの対策をまとめた。
飛沫感染

飛沫感染は、咳やくしゃみによってウイルスや細菌が空中に舞い上がり、口や鼻からの吸引によって感染する経路です。保育園では、次のような対策が重要です。
- 保育士が咳やくしゃみをする際には、ティッシュや袖口で口や鼻をしっかり覆います。
- 換気をこまめに行い、空気の循環を良くします。
- 保育室や共用スペースの清掃と消毒を定期的に行います。
空気感染

空気感染は、感染源が空気中に浮遊している状態で、呼吸や粘膜からの吸収によって感染が広がる経路です。保育園では、以下の対策が有効です。
- 保育室や共用スペースの換気を十分に行い、空気中のウイルスや細菌を排出します。
- 集団での活動時には、人数を制限したり密集を避けます。
接触感染
接触感染は、感染源が物や人の手などに付着している状態で、それが直接的または間接的に口や鼻、目などの粘膜に触れることによって感染が広がる経路です。保育園では、以下の対策が重要です。
- 手洗いをこまめに行います。特に、食事前、トイレ後、外から帰ってきた時などは手を洗います。
- おもちゃや共用部分などの消毒を定期的に行い、感染源となり得る物品の管理に注意を払います。
保育園内外の衛生管理
「保育所における感染症対策ガイドライン(子ども家庭庁)」では衛生管理のポイントが【保育室】【手洗い】【おもちゃ】【食事・おやつ】【調乳・冷凍募集】【歯ブラシ】【寝具】の7項目別にまとめられています。
- 日々の清掃で清潔に保つ。ドアノブ、手すり、照明のスイッチ(押しボタン)等は、水拭きした後、アルコール等による消毒を行うと良い。(嘔吐物や排泄物の処理等は塩素系消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム・亜塩素酸水)を用いる)
- 季節に合わせた適切な室温や湿度を保ち、十分な換気を行う。加湿器使用時には、水を毎日交換する。また、エアコンも定期的に清掃する。換気については、季節や施設状況に応じて窓あけのほか、換気扇や扇風機等を活用し効果的な対策となるようにする。
【保育室環境のめやす】
室温:夏 26~28℃, 冬 20~23℃、湿度:60%
- 食事の前、調乳前、配膳前、トイレの後、おむつ交換後、嘔吐吐物処理後等には、石けんを用いて流水でしっかりと手洗いを行う。
- 手を拭く際には、個人持参のタオルかペーパータオルを用い、タオルの共用は避ける。個人持参のタオルをタオル掛けに掛ける際には、タオル同士が密着しないように間隔を空ける。
- 固形石けんは、1回ずつ個別に使用できる液体石けんと比較して、保管時に不潔になりやすいことに注意する。また、液体石けんの中身を詰め替える際は、残った石けんを使い切り、容器をよく洗い乾燥させてから、新しい石けん液を詰める。
- 直接口に触れる乳児の遊具については、遊具を用いた都度、湯等で洗い流し、干す。
- 午前・午後とで遊具の交換を行う。
- 適宜、水(湯)洗いや水(湯)拭きを行う。
- テーブルは、清潔な台布巾で水(湯)拭きをして、衛生的な配膳・下膳を心掛ける。
- スプーン、コップ等の食器は共用しない。
- 食後には、テーブル、椅子、床等の食べこぼしを清掃する。
- 調乳室は清潔に保ち、調乳時には清潔なエプロン等を着用する。
- 哺乳瓶、乳首等の調乳器具は、適切な消毒を行い、衛生的に保管する。
- ミルク(乳児用調製粉乳)は、使用開始日を記入し、衛生的に保管する。
- 乳児用調製粉乳は、サルモネラ属菌等による食中毒対策として、70℃以上のお湯で調乳する。また、調乳後 2 時間以内に使用しなかったミルクは廃棄する。
- 下記ガイドラインを参考に調乳マニュアルを作成し、実行する。
【参考】「児童福祉施設における食事の提供ガイド」(平成 22 年 3 月 厚生労働省) - 冷凍母乳等を取り扱う場合には、手洗いや備品の消毒を行うなど、衛生管理を十分徹底する。母乳を介して感染する感染症もあるため、保管容器には名前を明記して、他の子どもに誤って飲ませることがないように十分注意する。
- 歯ブラシは個人専用とし、他の子どものものを誤って使用させたり、保管時に他の子どものものと接触させたりしないようにする。
- 使用後は、個別に水で十分にすすぎ、ブラシを上にして清潔な場所で乾燥させ、個別に保管する。
- 衛生的な寝具を使用する。
- 個別の寝具にはふとんカバーをかけて使用する。
- ふとんカバーは定期的に洗濯する。
- 定期的にふとんを乾燥させる。
- 尿、糞便、嘔吐物等で汚れた場合には、消毒(熱消毒等)を行う。
まとめ

保育園は多くの子どもたちが一緒に生活する場所なので、日ごろから清掃や衛生管理を心掛けることが大切です。本記事では消毒薬の種類別に用途や特徴を解説しましたが、子どもの手の届かない場所に置くなど管理の仕方も大切なポイントです。日々の保育活動において感染症予防に努め、子どもたちの健康と安全を守りましょう。
