暑い季節になると、子どもたちの健康管理において特に注意が必要になるのが熱中症です。近年、熱中症による救急搬送人員数は毎年増加傾向にあります。この記事では、熱中症の基礎知識から保育現場での対策、保護者への協力依頼について解説します。
熱中症とは?
まず熱中症がどのような状態かを正しく理解することが大切です。熱中症は、高温多湿な環境の中で長時間いることで体温調整がうまくいかなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。特に小さな子どもは体温調整機能が未発達であるため、短時間でも熱中症に陥る危険があります。熱中症が疑われる症状に軽症の段階でいち早く気付き、応急処置をすることが重要です。
救急搬送の実態

熱中症は決して他人事ではなく、身近な場所で発生しています。総務省消防庁の統計によると、令和5年(2023年5月〜9月)の熱中症による子どもの救急搬送人員はおよそ1万人でした。特に梅雨明け直後や、急に気温が上がった日には搬送数が急増する傾向があります。熱中症で救急搬送された子どもの約半数が、屋外活動中や家庭・学校・保育施設など身近な場所で発症しています。
熱中症が起こりやすい条件
次に、どのような状況で熱中症が起こりやすいのかを知ることが予防の第一歩です。子どもたちが熱中症を発症しやすい環境・条件は以下の通りです。
- 気温が高い日(30℃以上)
- 湿度が高く、風が弱い日
- 急に暑くなった日(体が暑さに慣れていない)
- 日差しが強い日や照り返しの強い場所での活動
- 長時間の屋外活動・運動後
加えて、子ども自身が「のどの渇き」「だるさ」を言葉で訴えられない場合も多いため、保育者の観察が不可欠です。
保育園での具体的な熱中症予防策

園で取り組める具体的な熱中症対策を項目ごとにご紹介します。日常の保育の中で、無理なく取り入れられる方法です。
環境づくり
- 室温は28℃以下を目安にエアコン・扇風機・サーキュレーターを適切に使用
- 窓を2方向開けて風通しを良くする
- 屋外では日陰を確保し、直射日光を避ける
- 暑さ指数(WBGT値)を毎日確認し、活動を調整
水分補給
- 20〜30分ごとに水分補給の声かけ
- 水やお茶を基本とし、必要に応じて経口補水液を活用
- 「のどが渇く前に飲む」ことを習慣づける
服装・持ち物
- 通気性が良く、汗を吸いやすい素材の服を選ぶ
- 必ず帽子を着用
- 替えの服やタオルを十分に準備
活動内容
- 屋外遊びは朝の涼しい時間帯に
- 日中は室内遊びや水遊びに切り替える
- 運動は無理をさせず、子どもの様子を見ながら進める
子どもの異変に気づくポイント

熱中症の初期症状を見逃さないことが重要です。保育士が日常的に観察すべきポイントをまとめました。
- 顔が赤い、ほてりがある
- 汗のかきかたがおかしい/逆に汗が止まっている
- 呼吸が速い、苦しそう
- 体温が高い、皮膚が赤く乾いている
- 筋肉のけいれんや、手足がつる症状
- 頭痛、吐き気、めまいを訴える(年齢によっては言葉で言えないため仕草や表情で察知)
- 呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
- 水分補給ができない
これらのサインを見逃さず、すぐに応急対応に移ることが大切です。
もしもの時の応急対応
万が一熱中症が疑われる場合、速やかな対応が命を守ります。次の流れを頭に入れておきましょう。
- 涼しい場所に移動させる
- 衣服を緩め、うちわや扇風機で風を送る
- 首、脇の下、足の付け根を冷やす(保冷剤・濡れタオルを使用)
- 意識がはっきりしていれば水分補給を行う
- 意識障害やけいれん、反応が鈍い場合は迷わず119番通報
救急搬送時は、症状の経過や園での応急処置の内容を救急隊に正確に伝えます。
保護者への協力依頼と情報共有
園の対策だけでなく、保護者の協力が熱中症予防には不可欠です。
園から保護者へお願いしたいこと
子どもの健康を守るため、保護者の皆さんに次の点をご協力いただきましょう。
- 帽子、着替え、タオルの持参
- 登園前の体調チェック(朝食の有無、睡眠、体調の変化)
- 必要に応じて登園を控える判断
- ご家庭での十分な睡眠と食事
情報共有の工夫
保護者と園が一体となった取り組みを進めるため、情報共有にも工夫が必要です。
- 園だより、掲示、連絡帳で対策や注意喚起を継続的に伝える
- 暑い日の園での活動内容を具体的に知らせ、安心感を持ってもらう
園全体での意識づくりと継続的な見直し
熱中症予防は一度対策すれば終わりではありません。園全体で継続的に取り組むことが大切です。
- 熱中症対応マニュアルの作成・更新
- 職員間での定期的な確認・研修
- 夏前の職員会議で役割分担と緊急対応の流れを確認
- 毎年の振り返りで改善点を洗い出す
まとめ

熱中症は対策と予防が何よりも重要です。保育士の皆さん一人ひとりの意識と、園全体の組織的な取り組みが子どもたちの健康と命を守ります。今年の夏も日々の対策と予防を徹底し、熱中症ゼロを目指しましょう。
