日々の保育の中で、「この子はどうして落ち着かないんだろう?」「なかなか椅子に座っていられない」「何か気になる行動をしているな」と感じた経験はありませんか?もしかすると、その背景には『感覚統合』の課題があるかもしれません。感覚統合は子どもの発達や日常の行動に大きく影響を与える要素です。本記事では感覚統合についてわかりやすく解説します。現場での対応のヒントとなれば嬉しいです。
感覚とは?
まず、感覚について理解を深めましょう。人間には「五感」と呼ばれる感覚に加えて、身体の動きやバランスに関わる感覚を含めて7つの感覚があります。それぞれの感覚が協力し合うことで、私たちはスムーズに日常生活を送ることができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
①触覚(しょっかく)
肌で物の硬さ、温度、質感、圧力、痛みなどを感じ取る感覚です。
②視覚(しかく)
目で物を見る感覚です。色、形、距離、動きなどの情報を捉えます。
③聴覚(ちょうかく)
耳で音を感じる感覚です。音の高さや強さ、方向などを認識します。
④味覚(みかく)
口の中で甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を感じる感覚です。
⑤嗅覚(きゅうかく)
鼻でにおいを感じ取る感覚です。
⑥固有受容覚(こゆうじゅようかく)
筋肉や関節の動きを感じ取る感覚です。
⑦前庭覚(ぜんていかく)
体の傾きや動き、スピード、重力を感じ取る感覚です。
統合とは?
生活の中では、さまざまな感覚情報が同時に入ってきます。それらを脳で整理して適切な行動につなげる働きが統合です。感覚統合とは、複数の感覚を正しく分類しまとめる脳の機能のことです。この感覚統合の働きによって、人はその場その時に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになります。

感覚統合がうまくいかないとどうなるんですか?

感覚統合がうまく機能していない場合、以下のようなケースが考えられます
一般的に話を聴くという場面では、保育士を「視覚」で見て、話を「聴覚」で聞くことに注意を向けます。ところが感覚統合がうまくいかない場合、「触覚」や「前庭覚」にも同じ程度の注意を向けてしまいます。
その結果、たまたま触れた隣の友だちに過剰反応してしまったり、姿勢を一定に保てずそわそわしてしまうような様子が見られることがあります。
感覚統合と発達の関係
子どもの発達過程で物事ができるようになるまでには様々なステップがあります。その発達過程において感覚統合は重要な役割を果たします。以下では、子どもがテーブルで食事ができるようになるまでの発達のステップを見ていきましょう。
- ①前庭覚・固有受容覚の発達
身体のバランスを調整する前庭覚と筋肉の動きを感じ取る固有受容覚が育つことによって、きちんとした姿勢で長時間椅子に座れるようになります
- ②手指の動きの発達
姿勢の発達が進むと、手や指の末端の動きが発達し、お皿を持ったり箸を使えるようになります
- ③テーブルで食事
①②のステップをクリアすることで、最終的にテーブルで食事ができるようになります
まとめ
感覚統合がうまくいかない子どもに対して「〇〇してはだめ!」と言っても、子どもにとっては何がいけないのかわからない、わかってはいるけどやめれないというケースが多くあります。保育士として、子どもができないことだけに目を向けるのではなく、その背景には感覚統合がうまくいっていないのではないかと考えることが非常に重要です。本記事を参考に、感覚統合の理解を深めていただけたら幸いです。
