保育の環境構成どう考える?内閣府資料で学ぶ!明日から使える環境構成のポイントまとめ【前編】

園児が心を寄せる環境の構成

こちらは内閣府、厚生労働省、文部科学省が令和4年3月に発行した「保育の環境づくりに関する資料」です。

この資料には環境を通じてよりよい教育・保育を実現するための指導計画の作成方法や、子どもたちが成長に必要な体験を得られるよう環境をどのように構成するか詳しく解説しています。しかし文量が多く忙しい保育士さんがすべてを読むのは難しいかもしれません。そこでべあぷりでは重要なところを簡潔にまとめ、すぐに実践できる環境構成のポイントを解説します。環境構成がいつも同じようになって「これでいいのかな?」と疑問に思っている保育士さんはいませんか?環境によって子どもの反応や成長は大きく変わります。是非、日々の保育にお役立てください。

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資料の構成

本資料「園児が心を寄せる環境の構成」は以下3つの章で構成されています。

第1章

「環境の構成の意義」や「計画的な環境の構成」など、環境を通して行う教育や保育の基本的な考え方や、小学校教育との接続について

第2章

「園児の理解ー指導計画の作成ー環境の構成ー活動の展開ー評価」の循環の中で行われる教育や保育について、それぞれの過程で重視するポイントや具体的な方法について

第3章

環境を通して行う教育や保育を実践する上で役立つ事例紹介について

前編となる本記事では第1章の内容に絞ってポイントをまとめました。第1章の内容は環境構成のベースとなる知識が中心です。それでは見ていきましょう。

教育・保育の基本とは

幼保連携型認定こども園は学校と児童福祉施設、両方の役割や機能をもった施設です。子ども一人ひとりの発達に応じた自然な形で教育と保育を一体で提供することが求められます。重視するポイントは以下の通りです。

  • 安心感と信頼感を基盤とする
  • 興味や関心に基づいた具体的な体験を大切にする
  • 遊びを通して指導し、遊び=学びとする
  • 園児一人ひとりの発達の特性に応じて指導する
指導とは

環境構成の意義

環境の構成の意義

乳幼児期の教育・保育は、様々な環境と関わることで園児の発達を促すことを目的としています。保育教諭は、教育的にも保育的にも価値のある環境を考え、発達に必要な経験が得られるように環境を用意します。遊具や用具、素材だけを配置してあとは園児に任せるのとは本質的に異なります。

環境とは

教育・保育における環境とは、保育教諭によって園児の実態や育ってほしい方向性をベースに、意図的・計画的に構成された「意味のある環境」のことです。保育室や園庭などの場、時間や空間、教材など、それぞれの持つ教育的・保育的価値を理解し、園児の遊びや生活の動線も考慮しながら、園児にとって今必要な体験ができるように環境を構成する必要があります。

教材とは

教材というと、小学校の教科書やワークシートのようなものを想像するかもしれませんが、乳幼児期の教育・保育では、園児の周りに存在する様々な人や物、生き物、自然事象、社会事象、歌や絵本などを含め、園児が関わるすべてのものが「教材」です。

環境を構成するとは

環境の構成とは

「環境を構成する」とは、物的、人的、自然的、社会的等、さまざまな環境条件を相互に関連させながら、園児が主体的に活動を行い、発達に必要な体験を積んでいくことができるような状況を作り出すことをいいます。

計画的な環境の構成

計画的な環境の構成

保育教諭は、活動の主体が園児であることを意識し、活動が生まれやすく展開しやすいように、意図をもって環境を構成します。その際には「何に関心を抱いているのか」「何に意欲的に取り組んでいるのか」「何に行き詰っているのか」などの園児の生活する姿を理解する必要があります。そして一人ひとりが体験を積み重ね発達が促されるよう、計画的に環境を構成していくことが求められます。以下で大事なポイントを4つにまとめました。

園児理解

園児の主体的な活動のための環境を構成するには、園児を理解することが最も大切です。園児の主体的な活動は、園児が興味や関心をもって、思わず関わりたくなるような人やものなどの環境、さらに、興味や関心が深まり、意欲が一層引き出され、意味のある体験をすることができるように適切に構成された環境の下で、展開されていきます。

環境構成&再構成

園児の活動の流れや心の動きの変化などを的確に把握し、常に園児に寄り添いながら園児の内面の動きを理解することが大切です。その上で、園児が主体的に活動し発達にとって有意義な体験をすることができるように、環境を捉え直しながら、教材を工夫し環境を見直すなどの「環境の再構成」をしていく必要があります。

じっくり集中できる環境の構成

環境の構成

園児の興味や関心の在り方、環境への関わり方、発達の実情などを理解することを前提に、園児が興味や関心のある活動にじっくり取り組むことができるだけの時間、空間、遊具などの環境の確保が重要です。

体験の多様性と関連性を意識する

環境の構成

一つ一つの体験は、独立したものではなく、他の体験と関連性をもっています。関連性をもつことによって体験は更に深まり、園児にとってよりふさわしい「発達に必要な体験」が得られるようになります。保育教諭は「体験の多様性と関連性」を意識しながら環境を構成していくことが大切です。

園児の理解に基づいた評価

園児の理解に基づいた評価

計画的な環境の構成では、その環境における教育・保育を評価し、必要に応じて見直し改善していくことが重要です。このプロセスの繰り返しが教育・保育の質向上に繋がっていきます。評価のベースとなるのは、園児の理解であることを覚えておきましょう。

評価ポイント
  • 園児の理解に基づく評価であること
    ・評価は、他児との比較や一定の基準に対する達成度の評価ではなく、園児一人ひとりの良さや可能性を把握することを目的にする
  • 指導のプロセスを振り返る
    ・指導のプロセスを振り返り、園児の姿や活動を観察し評価する
    ・園児の行動や表情から思いや考えを受け止め、特徴的な姿や伸びつつあるものを捉える
  • 教育・保育の評価
    ・「園児の発達の理解」と「保育教諭等の指導の改善」の2つの視点から行う
    ・指導計画で設定したねらいや内容、環境の構成が適切であったか、必要な援助が行われたかを確認する
  • 教育・保育の振り返りと改善
    ・指導の方法について評価し、必要な改善を行う
    ・短期の指導計画~長期の指導計画の見直しを行い、全体的な計画の改善に繋げる

小学校における円滑な接続を図るための取組

小学校への接続

小学校低学年では、幼保連携型認定こども園の教育・保育で育てたい資質・能力の育成を踏まえ、園児の発達や学び、生活を教科等の学びや学校生活に繋げていきます。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿

幼保連携型認定こども園では、「生きる力の基礎」を育むことが重要とされています。これは小学校以降の発達を見通しながら行うべきもので、以下の資質・能力を育むことが求められます。

  1. 知識及び技能の基礎
  2. 思考力、判断力、表現力等の基礎
  3. 学びに向かう力、人間性等

取組事例

小学校への接続を円滑にするために意見交換や合同研修会を実施する幼保連携型認定こども園や小学校の取組も増えてきています。本資料に掲載されている具体的な取組事例はこちら

まとめ

環境の構成 まとめ

本記事では、「園児が心を寄せる環境の構成」の第1章の内容についてまとめました。本記事を読んで教育・保育の基本的な考え方や、園児の主体性を引き出すための環境構成の意義の理解を深めることができたなら幸いです。後編では、第2章の内容「園児の理解ー指導計画の作成ー環境の構成ー活動の展開ー評価」の循環の中で行われる教育・保育について、第3章の具体的な事例を交えながら、それぞれのプロセスで重視するポイントや具体的な方法について解説します。後編は実践的な内容となりますので乞うご期待!

参考:「環境を通して行う教育及び保育」の基本的な考え方(「園児が心を寄せる環境の構成」第1章)