保育園児のなかには、「怒り」を抑えられずに衝動的な行動を取ってしまう子どももいるでしょう。そこで有効なのが、怒りの感情とうまく付き合うためのアンガーマネジメントです。
本記事では、子どもがアンガーマネジメントを行うメリットや、アンガーマネジメントをサポートする方法を解説します。保育にアンガーマネジメントの考えを取り入れて、子どもの怒りを前向きに切り替える手段に活用してくださいね。
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子どものアンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を自分で抑えられるための心理トレーニングです。アンガーマネジメントは「怒りを我慢する訓練」と捉えられがちですが、「怒りを上手に表現するためのスキル」である点がポイントです。
子どもは自分の気持ちの言語化や問題解決能力が成長途中のため、他人の気持ちを汲み取れずに感情に任せて怒りを爆発させてしまう時もあります。
そんなとき、子どもにアンガーマネジメントをおこなってもらうと、気持ちの整理や冷静な問題解決に大きく役立ちます。
子どもの怒りにアンガーマネジメントを取り入れるメリット
子どものアンガーマネジメントには、多くのメリットがあります。なかでも、年齢が小さいうちからトレーニングできる点と、怒りをうまく伝えられる効果に着目してメリットを解説します。
間違った怒り方が癖になる前にトレーニングできる
子どもは柔軟性や適応能力が高いため、新しい考え方も素直に吸収しやすいです。怒りを感じたときに暴力的になったり、言葉で攻撃したりするような間違った怒り方が癖になる前であれば、よりスムーズにアンガーマネジメントを習得しやすいでしょう。
また、怒りが抑えられないままだと良好な人間関係を築きにくくなります。子どもの頃からアンガーマネジメントの考え方に触れておくと、社会性を高めるうえでも効果的といえます。
怒りを適切に表現できると自尊心が育まれる
アンガーマネジメントの目的は、怒りの抑圧ではなく、怒りを適切な形で表現することです。怒りのもとにある気持ちをうまく伝えられれば、自分の気持ちをスムーズに発散できます。
相手にも受け入れてもらいやすくなるため、自尊心が育まれます。周囲との関わりをとおして自分に対する信頼感や自信が高まるでしょう。
子どものアンガーマネジメントをサポートする3つの方法
保育園で子どもにアンガーマネジメントをおこなってもらうには、保育士が適切なステップで導いてあげる必要があります。カッとした瞬間をやり過ごす対処法や、怒りへの共感、そして問題解決へと気持ちを切り替えられるようにサポートしましょう。
クールダウンさせる
子どもが怒りで興奮しているときは、まずは気持ちをクールダウンさせる対処法を取ります。
言い争いや喧嘩に有効なのが、その場から離れさせる「タイムアウト」です。お互いにその場から離れさせて、水を飲んだり顔を洗ったりと冷静になる時間を作りましょう。
深呼吸も効果的です。怒りの感情も一緒に吐き出す気持ちで「フーッ」と大きく息を吐くように促すと、子どもの怒りが収まってくるでしょう。
「イライラが通り過ぎるまで待とうね」と、怒りのピークをやり過ごせるように声掛けするのも効果的です。
怒っている理由に共感する
子どもが怒る理由の多くは、子ども自身が抱いている「○○するべき」がくつがえされるからです。自分の理想どおりにならない、正義感に反する行動をされるなど、子どもそれぞれが持っている「○○するべき」がとおらないときに怒りが生まれます。
「何が嫌だったの?」と子どもの欲求を聞き取り、「○○したかったんだね」「それは悔しいよね」と気持ちに共感しましょう。怒りのもとにある気持ちを大人が言語化するだけでも、怒りが落ち着くケースも多いです。
気持ちを伝えて問題解決をはかる
子どもが冷静さを取り戻したら、気持ちを「アイメッセージ」で伝えられるようにサポートしましょう。
例えば、がんばって作った積み木をお友だちに壊されてしまった場合で考えてみます。
怒りがクールダウンしたら、「(わたしは)積み木を壊されて悲しかった」など、怒りのもとにある気持ちを「わたし」が主語になる文章で伝えられるように手伝いましょう。そして、「次からは勝手に壊さないでほしい」というように、問題解決に向けて相手にしてほしいことやこれからの約束ごとを話し合います。
自分の本当の気持ちを伝えたうえで解決にたどりつく経験を積むと、子ども自身がアンガーマネジメントの良さを実感するでしょう。
子どものアンガーマネジメントをサポートする注意点
アンガーマネジメントは怒りを抑えるのが目的ではありません。保育士は、子どもが怒りを上手に表すためのサポートをしていることを忘れないようにしましょう。
怒りに任せて行動してしまうと、周囲も自分も傷つけてしまいかねません。怒りをぶつけても問題の解決にならないと理解してもらえるような声掛けが大切です。
また、取り合いになりそうなものは人数分用意する、順番に使うルールを明確にしておくなど、トラブルの元をできるだけ排除した環境づくりを意識しましょう。
まとめ
怒りの感情を上手に表現するのがアンガーマネジメントです。子どもの頃から怒りとうまく付き合う練習を積むと、良好な人間関係を構築するのに役立ち、自尊心が高まります。
子どものアンガーマネジメントを保育に活用して、感情的に怒りをぶつける子どもにステップを踏んで対処していきましょう。
Q&A
Q.なかなか怒りが冷めない子どもにはどう対処すればいいですか?
A.いつも同じ対処法では慣れて効果が薄れる場合も。腕をユラユラさせる、体をさする、胸をトントンするなど複数のサポート方法を考えておきましょう。
Q.アンガーマネジメントがうまくできない子どもにはどうすればいいですか?
A.怒りに振り回されないようにするには、子ども自身が何度も実践して身につけるしかありません。イライラしたまま衝動的に行動すると、自分も周囲の人も嫌な気持ちにさせてしまうことを繰り返し伝えましょう。

